BLOG

短角牛(たんかく牛)について

今日は「短角牛(たんかく)牛」のことについて書いてみます。
自分が宅配流通会社で働いている時に最も印象的だった取り組み・商品の一つです。

短角牛は、北海道や北東北で飼育されている、和牛の一種ですが、和牛の大部分を占めるのは黒毛和牛で、短角牛は和牛全体のわずか1%程度(1万頭弱)。
短角牛は明治以降輸入されたイギリスのショートホーン種と南部牛の交配により誕生しましたが、赤身主体の肉のため、サシの入り方により肉質の等級が決まる日本の畜産では等級上高く評価されませんでした(このサシの入り方により肉質の等級が決まるが日本の畜産の問題の1つでもあるのですが)。
元々希少だった上に等級上の評価が低かったため、短角牛の飼育数は少ないまま段々と減っていったんです。
ただ、とっても旨いんです!赤身のおいしさを堪能することのできる肉です。噛みごたえはありますが、じわじわっとしみ出てくるような“旨み”があるんです。ほんとに。

それだけではありません。短角牛には重要な要素があります。それは本来あるべき畜産の姿を目指すことができること。
短角牛は、粗飼料(牧草・サイレージ・稲わらなど、草そのものあるいは草から作るエサ)主体に育つことのできる牛で、また暑さ寒さに強いので、放牧に適した牛です。
粗飼料主体ということは、輸入が大半を占める濃厚飼料(トウモロコシや大豆かすなどの穀類を主とするエサ)と違って国内の生産で対応可能であること(自給率と関係)であり、草食動物である牛にとってとても自然なことなのです。
また放牧に適しているということは、一生を牛舎だけで終えるのでなく、走ったり、ゆったり寝たり食事をしたり、子牛を育て子牛と一緒に過ごすことが可能であり、これは家畜福祉(アニマルウェルフェア)の考えに見合ったものです(これを言ってしまうと、そもそも肉食や畜産自体がどうなんだという議論にも発展するんですけど)。実際、一定期間放牧されて過ごしています。
牛が健康に育てば、やはり肉の質や味も良くなるでしょう!
これらの要素は耕作放棄地の有効利用にもつながってくるものであり、まさに循環型の農畜融合の畜産形態なのです。

長々書いてしまいましたが、まずは食べてみてください。部位にもよりますが、焼いてもよし煮てもよし。あとそう、ローストビーフも絶品でした!
インターネットで検索すると購入できるところや産地のページがありますし、環境や健康に配慮した商品を扱う宅配の太地を守る会やらでぃっしゅぼーや、いくつかの自然食品店でも取り揃えています(値段はやや高めですが)。
都内でも短角牛を扱っているレストランが少しずつ増えてきています。ここにきてまた注目されてきてますね。

短角牛がバッファローやヌーの群れのように草原を走っている姿は壮観で幸せそうです。
ぜひいちど短角牛が育っている場所へも足を運んでみてください。

シェアする